勝手に、ウエイターにメニューを頼んでいた



駿がさとみに目をやる。



「駿」



「はい?」




「駿。


駿ってよべ。



社長の弟とか呼ぶな。




いつまでも失礼なやつだな」



「は、はい。すいません。」



失礼だったかな。



「あの。駿さん。



本当にわたしこんなこと、困るんですけど」




「なに、はっきり要点を言って。



何が言いたいの。



赤でいいよね」



ウエイターが持ってきた



赤ワインのグラスを見てから、駿が尋ねる。



「かんぱい」



手元のグラスを上げろって仕草。



場のペースは、駿に掴まれっぱなし。




もう話聞いてくれないのは、そっちじゃん。




「こんなとこ私には、払えないんです!」



さとみは、耳まで真っ赤。




一瞬間があいて




「はははっ」




駿がその様子をみて、また大笑いした。




「周り見てみなよ。



何で、誰もいないと思ってんの」




確かに、店内には駿とさとみだけ。




「この店、貸切ったんだよ。



こんなの当たり前だし。



おれが食事に誘った子からお金取ると、



本気で思っているの?」