何とか、資料は間に合わせ、



バタバタしていたら、



あっという間に時間になってしまった。



さとみはまだ迷ったまま。



18時15分前に、おそるおそる



会社の前を見てみると…



会社の真ん前に、



黒光りしている大きなリムジンが



止まっている。



しかも、黒い制服を着た運転手さんが、



もう外で待っている。



これでもかっていうくらい、



目立ちまくって鎮座する存在感。




信じられない。



さとみは、叫びそうになる。




あんなすごい車。



リムジンなんか停まっていたら、



みんなが見るよ。



私が乗るとこなんて見られたら…。




帰るひとがたくさん出てこないうちに、



さとみはリムジンに飛び乗った。




車内にはさとみ一人。



連れていかれたのは、



重厚な造りの、グレーのレンガ風の外壁に




囲まれた



高級レストラン。



イタリアン?



入口に、イタリアの国旗が揺れている。



ほの暗い店内。



濃いめのブラウンのレンガ風の壁が



異世界感をかもしだしている。



それとブラックの柱のツートンカラーで



まとめられていて、とてもシックで



高級感がハンパない。



さとみは、



ずらっと並ぶワインボトルと




店員さんに、迎え入れられた。



その、さとみはというと。



カーキのカットソーに





光沢感のある同色のロング丈の




プリーツスカート。




それに、ビジューのはいったクリーム色の




カーディガンというカジュアルないでたち。




場違いだよー。



着替え持ってきてないもん。



入口でダメって言われるかと思った。




弟さんは…?。