「うん」
私はうなずいて幸人くんの言葉を待った。






「立ち向かわなくてもいいんだからな」




「え?」
「無理せず、その場から離れてもいいと思う」
「でも」


「オレは、そう思うよ」



幸人くんはそれだけ言って、
「よし、じゃあ今日はありがとうな」
と片手を上げた。
「えっ、上がっていかないの?」
「いい。ほら、家の中入って」

私は玄関のドアノブを触りかけたけれど、思い立って振り返った。

「幸人くん!」
「んー?」




「月曜日から、学校に行くからね!!」




「え……」
幸人くんは目を丸くした。
「月曜日って、次の月曜日ってこと?」




「そうだよ、だから今日はありがとう!!」



大きく手を振ってから、私は家の中に入った。