女の子達の笑い声が、耳にキンキンと響いて痛い。

電車が次の駅に停車した。
今まで黙っていた幸人くんが静かな声で、
「降りよう」
と言った。



「葵、大丈夫?」
駅のホームのベンチに座って、私はうつむいてしまった。
「幸人くんも大丈夫?」
気になって聞いてみる。
「オレは大丈夫。ありがとう」

幸人くんが自動販売機でペットボトルの水を買ってきてくれた。
「青い顔してる。ちょっとここで休もう」
私の隣に座って、幸人くんはペットボトルのフタを開けてくれた。
「……買ってもらってばっかり」
「いいから。少しでも飲んで」

私は水をひと口飲んで、小さく深呼吸する。


どんなに前を見ようとしても、中学の思い出が私を離してくれない。