「あ!違うから!コロッケ食べたいから早く登校させようとかいうんじゃないし、急かすつもりも全然ないから!」
私はクスクス笑ってしまった。
「幸人くん、慌てすぎ」



「あっ、もうすぐ学校だから」
幸人くんのその言葉通り、校舎が見えている。
「……きたね」
「うん、葵は頑張った!」

ひざは少し震えているけれど、とうとう電車に乗り、高校の前までくることが出来たんだ。


校門の前に立つ。
まっすぐ前を見ると、丸い花壇の中央に時計があった。
細長くて高さもあるので、ここからでも時刻がわかる。

その奥には何段か階段があって、正面玄関。
白い校舎は清潔感がある。


私、ここの生徒なんだ。
高校生になったんだ。


そう思うと、両目がウルウルしてきた。