じっと見られていて、居心地の悪さを感じる。


早くその瞳から解放されたくて、
「付き合ってないけど」
と短く答えた。

男子はそれでも私を見つめたまま、
「『けど』って何？横峯のことを好きとか？」
と重ねて質問してくる。


私は黙った。


この人と話すのは、苦手だ。


沈黙していたら呆れてどこかへ行ってくれるんじゃないかと思い、心の中でそうなるように願う。



「……あいつ、評判悪いじゃん」
男子は吐き捨てるように言って、
「あんなのと一緒にいたらダメだよ」
と私に近づいてきた。


何？
なんかこの人、ちょっと……。



怖い。




男子との距離が縮まることが嫌でつい、
「あの……」
と呟(つぶや)いてしまった。