桜井さんはキャハハッと嬉しそうに笑ってから、
「田島くんが勇気出せないなら、私が頑張るしかないじゃんねー」
と言った。

友達でもない私があまり桜井さんのほうを見ていると何か言われそうで、自分の机の上に置いた教科書に視線を移す。
「ほんと付き合う前から世話が焼けるわー」
桜井さんの明るい声だけが耳に届く。


桜井さんは教室カーストの頂点に立つ存在。
ハキハキしていて、自分の意見をストレートに言える。
誰も彼女に逆らえないけれど、彼女は友達も多くていつも誰かといる。

私とは正反対だなって思う。

意志の強そうな顔つき。
背が高くて長い脚。
ちょっとだけ着崩した制服。

外見も中身も全然違う。




午前の授業が終わり、昼休みになった。