「本当に……?」
私はまだ信じられない気持ちと心から安心した気持ちがとろりと混ざる感覚になる。
「おいで」
幸人くんが私を抱き寄せた。


「ずっとこうしたかった」
抱きしめられていることを自覚すると心臓が早鐘を打つみたいにうるさくなる。
それでも私の両腕は幸人くんの背中にまわる。

「夏祭りの日、気まずくなったの覚えてる?」
幸人くんがふいに尋ねてくる。
「うん。ずっとなんでかなって考えてた。文化祭の準備になって、気まずさが薄れたけれど」

「あれ、()ねてただけだから」
「え?何に!?」
私は幸人くんの顔を見る。
思ったより至近距離に幸人くんの顔があって、より一層私の頬が赤くなったことを自覚する。