「大丈夫?」
少し不安になって聞いてみる。
「うん、平気。……いや、平気じゃない、かも」
「やっぱり告白するの?」
幸人くんも石森くんに尋ねる。

「オレ、こういうイベント事の時じゃないと勇気出ない気がしてさー」
弱弱しく微笑んでみせる石森くん。
「ただ好きだって伝えるのに、こんなに苦しいんだな。世の中のカップルのことをオレは今まで『浮かれてんなー』ってちょっとバカにしてたけどさ」
そう言って、石森くんはため息を吐く。
「そのカップル達はみんな、この苦しい思いを乗り越えて両想いになってんだよな。すげーよ、マジで」

「付き合えるといいね」
心の底から石森くんにエールを送りたいと思った。
「ありがとう、でもいいんだ。多分付き合えることなんかないけど、オレの気持ちだけ伝えられたら嬉しい」