「私のこと、嫌いなら嫌いでいいから。関わろうとしないで。……放っておいてよ」

「なんでよ……」
桜井さんは私を睨んだ。
瞳が揺れて、目には涙が溜まってきている。

その時、制服のスカートのポケットに入れていたスマートフォンが振動した。
桜井さんがうつむいて涙を拭っている隙にスマートフォンを素早く取り出す。
幸人くんからの着信で、私は通話ボタンをタップした。

桜井さんは泣きながら、私に向かって言う。
「なんで、みんな私のこと無視するの?あんたのことは信じて、誰も私の言うことなんか聞いてくれない」
「嘘、つくからだよ」
「嘘?私が?」
桜井さんの表情が更に険しくなってくる。

「嘘じゃない!」
再び桜井さんは私に顔を寄せて大きな声を出した。