それでも私は必死に頭を横に振って、否定した。
私は悪くない。
勘違いされてるだけ。
頭の中で自分を応援する。
頑張れ、大丈夫だから……!

「何?マジでウケる。泣いてんの?」
桜井さんの言葉で、私ははじめて自分が泣いていることを知った。
「あははははは!どこまで悲劇のヒロイン気取りなわけ?正直気持ち悪いし」
桜井さんが乱暴に私の胸倉を離したので、私はバランスを崩して地面に倒れる。

「ねぇ、知ってる?私、あんたのせいで今でも親に白い目で見られるし、中学の時だってあの後は誰にも口聞いてもらえなくなったんだー」
私を見下ろし、桜井さんはため息をつく。
それからニッコリ笑って、
「私、何も悪いことしてないのにね」
と言った。