お弁当の中の卵焼きをもそもそと食べる。
おいしいんだけれど、おいしくない。
幸人くんがいてくれたら、もっとおいしいのになぁ。

「あれ?越野さん、ひとり?」
クラスメートの小谷さんが話しかけてきた。
「……うん、でも、もう食べ終わるけど」
「なぁんだ!早く言ってくれればいいのに。」
「?」
「一緒に食べられたじゃん?」
小谷さんはそう言って、
「今度、もしひとりで食べる日がきたら一緒に食べようね」
と友達の待つ、自分の席に戻って行った。

小谷さんの言葉に胸がじんわりあたたかくなる。





午後も実力テストの続き。
やっぱり手応えを感じる。
少し自信を持ってテストを終えられた。

「テスト、出来た?」
放課後、幸人くんと学校を出た。