「え、いいの?行けそう?」
「え?うん。……行きたい」
幸人くんは「ハァーッ」と大きく息を吐いて、胸を撫でおろしている。

「断られると思ってたから」
幸人くんはそう言って、
「やっぱり葵は強いね」
と笑顔を見せた。

「?」
私はよくわからなくて黙ったまま幸人くんを見つめる。
「いや、つい数ヵ月前までは外出したり登校したりするのが葵にとっては大変なことだったのに、今日みたいにちょっと遠出して遊びに行ったりとか、お祭りに誘っても『行きたい』って言ってくれたりとか……、すごいよな」

「……幸人くんがいつだって隣にいてくれるからだよ」
私は素直な気持ちを込めて言った。
幸人くんはわかってくれる。
外出の怖さも、ただ登校するだけでどんなに勇気が必要かってことも。