メリーゴーランドは空席

その言葉に私は心の中のモヤモヤが晴れていく気がした。






帰りの電車の中。
遊び疲れて、まぶたが重くなってきた。
「眠い？」
「ううん、大丈夫……」
なんとか睡魔に勝とうと頑張ってみる。
「駅に着いたら起こそうか？」
「……うん」
返事をしたことは覚えているけれど、そこで私はどうやら眠ってしまったらしい。


夢の中。
幸人くんが女の子と歩いている。
その女の子の後ろ姿を見たことがある気がした。
誰だろう？
女の子の肩に手をまわして嬉しそうな幸人くん。
何となく心にトゲが刺さったような、嫌な気持ちになった。


「……その子、誰？」


「その子って？」
幸人くんの不思議そうな声でハッとする。
寝言を言っていたらしい。
あれ？
私は自分の体勢にギョッとした。