「何言ってんの?」
幸人くんは目を丸くした。
「だって、ずっとずっと幸人くんにはお世話になりっぱなしだし、色々してもらってばっかりで、私……幸人くんに甘えすぎかなって」
不覚にも最後のほうは涙声になってしまった。

「私が幸人くんに何かしてあげられたことってないんだもん」
情けないこと言ってるなって、自分でも思った。

「葵」
幸人くんが私の頬に手を伸ばす。
その瞬間、頬をグーッと伸ばされた。
「いひゃい、いひゃい!(痛い、痛い!)」
「オレ、葵に何もしてもらってないとか、思ったことない!むしろいっつも助けられてるんだからな!」
幸人くんはそう言って私の頬を離し、
「でもさ、何かしてもらわなくてもいいんだよ。ただ、隣にいてくれれば嬉しいんだからさ」
と、笑ってくれた。