「……わかった」
幸人くんが浮き輪をプールサイドに置いて、プールの中に入ってきた。
私の目の前で頭を下げる。


……え?


「ごめん。オレが間違ってた」
幸人くんが頭を上げて、私の目をまっすぐに見た。


「あの女の人には『彼女、可愛いね』って言われて、『そうでしょ』って笑ってただけ。オレ、ちょっと浮かれて彼氏気分になっちゃってた。うざいこと言ってごめん」

「違う……、うざいとか思ってない」
私は小声だったけれど、精一杯のどから声を絞り出す。

「勝手に不安になっちゃったの。幸人くんとずっと仲良くしたいのに、私が隣にいていいのかなって」
小声なのに、プールの中で声が響く気がする。