結局ママに電話をして、河川敷まで車で迎えにきてもらった。
何度も理由を聞かれたけれど、桜井さんを見たことは言わなかった。




「葵?」
幸人くんが私の顔の前で手をヒラヒラ振ったことで、ハッとする私。
「どうした?元気ない?」
「ううん、なんでもないよ。ごめん」
私は笑顔で答えた。

幸人くんとテスト勉強をすることが最近の放課後の過ごし方だったけれど、明後日からは期末テストがはじまってしまう。

「幸人くんって目、悪かったの?」
今日の幸人くんは授業中など、眼鏡をかけていた。
今も眼鏡をかけて、ノートに英単語を書いている。

「オレ?まぁ、良くはないかな。普段はコンタクトレンズしてる」
「そうだったんだ」