各種目の練習場所の説明を終えた橘先生は、
「それじゃあ、サクッと優勝しちゃおうか」
と、事もなげに言ってのける。
「え~、優勝!?」
クラスのみんなが口々に
「無理!」
と言っている。

「無理じゃなーい、やってみないとわからなーい」
橘先生は歌うように言って、
「ま、午後からの練習を頑張ってくださーい」
と教室を出て行った。



午前に受けた授業はどれもあまりわからなかった。
幸人くんにもらったノートを確認しつつ授業に臨んだけれど、ちんぷんかんぷんで置いてきぼりになっている自分を痛感する時間だった。

昼休みになると幸人くんが私の席まで近づいてきてくれて、
「一緒に()おうよ」
と教室の外に誘ってくれる。