「花咲、こっから動くな。 こんなとこ早く出て、絶対2人で帰るぞ」
「…っ…! 先輩…助けに来てくれて、ありがとうございます…っ」
「まだ助けられてねーんだけど?」
「相手は武器持ってますけど大丈夫ですか!?」
「大丈夫だけど…なんかこの状況楽しんでない…? あと前出てくんな」
先輩の前に出ようとするとすぐに止められる。
「先輩が武器受け止めてる間に、私がお腹にパンチかましてやります…っ!」
「…ばかやろう」
うわああ…!
先輩の"ばかやろう"!
新作だ! すごくいい…っ!
ずるいなあ先輩…どうしたってかっこいいんだもん……
「おい……俺のこと無視すんじゃねぇ…!」
そう言って木刀を持ち上げ、こちらに激突する勢いでぶつかって来る男の人。
「…うっ…」
次に見たその人は、もう床にバタンと倒れていた。
「しゅ、瞬殺……」
「…っ…! はな、さき……」
「え…」
あまりの速さに放心してしまい、自分でも気づかなかった。
振り返った先輩の目線の先には莉乃さんがいて、自分にナイフが向けられていることに……ーー