「神城くんか…?」
「…そう、なんですけど…先輩からくん付けされるのは気持ち悪いんで、つけないで下さい」
「……神城」
「はい」
こいつ、気持ち悪いとかよく俺に…しかも先輩に向かって言えたな……
俺にビビるやつも減ってきたけど、面と向かって気持ち悪いはさすがに言われない。
まあこいつの目も死んだ目してて、ある意味こわいが……
俺はひとつ溜息をつくと、その1年の神城に「なんか用?」と聞いた。
周りの人間に興味はないが、人気者はどこかしらで騒がれているので嫌でも目に入る。
遠巻きに騒がれているところをたまに見たこともあるけど、この1年はクールなのか無愛想なのか、表情が全然変わらない。
一字で言うなら"無"
一言で言うなら"イケメンの無駄遣い"
そんなところ。
「先輩…今失礼なこと考えました?
てゆうか"氷の王子"とか"氷結王"とか変なあだ名つけられてる割に、冷たそうじゃないですね」
「…俺に文句言うためにきた?」
「すいません、けど文句のひとつも言わせて下さい…付き合ってもないのに抱きしめるのはどうかと思います」
「…! ちゃっかり見てんじゃねぇ」
見られるだけでなく、話もたぶん聞かれてるはずなのに、不思議とあまり気にならない。
見た目的に、口が堅そうだからかもしれない。