「花咲さん、そろそろ病院連れて行きたいんだけど……いいかしら?」

そう聞こえると、女の養護教諭と共に、町野と正人も一緒に保健室に戻ってきた。

「は、はい…っ」

花咲はベッドから降りてスリッパを履くと先生のもとに行く。

「お家の人いなかったからお父さんの仕事先に電話したら、仕事早めに終わらせて病院来てくれるって」

「あ、わざわざありがとうございます! お手数おかけしました…!
美羽も、先輩たちも、ありがとうございます…っ」

「私も付き添いで一緒に病院行ってきます」

町野は花咲と自分の鞄を持ってそう言った。

「また来週です…!」

金曜日の気づけばもう放課後、保健室。
花咲が俺に向かってそう言うから、俺は小さく頷く。
すると泣いた後だからか、ぎこちない笑顔になった。

そのまま花咲と町野が保健室を出て行ったあと、「俺も部活行ってくる」と正人も出て行く。

そしてそこにはもうひとり、話を聞いているやつがいた。

「盗み聞き?」

俺がドアの外に向かってそう言うと、ゆっくり保健室の中に入ってくる男。

「気づいてたんですか…」

そいつは、この前花咲と裏庭に一緒にいて、俺が嫉妬した1年。
そしてたぶん花咲をここまで運んだという"神城くん"