「ミキ………ごめんなさい。あなたの事忘れたくなかった。それなのに、忘れたことも気づかないで、ここまできてしまって………ごめんね。ミキ」
 『それは仕方がないことなんだ。薫が気にする事じゃないよ。それにね、僕は薫と大人になってデートをしたのが、今でもドキドキしちゃうぐらい嬉しかったんだ。誕生日を僕が独占して祝えてよかったよ』
 「私も楽しかったわ………ねぇ、ミキ。ミキは、僕はクジラだって言ったけど、私はそうは思ってないよ」
 『え………』
 「出会ったときも、一緒に遊んでくれた時もミキは私を助けてくれて。忘れていたあなたを思い出させてくれたのも、ミキ………。私にとってミキは、クジラなんかじゃない。ペルセウスなんだよ」
 『僕がペルセウス?』
 「えぇ……これ、夢に出てきてくれたお礼。ペルセウスの星だよ」


 琥珀を入れてある方とは逆のポケットから取り出したもの。それはここに来る途中に、寄ってもらった天文台で買ったものだった。ペルセウスの星の形をしたキーホルダーで星の部分にはキラキラと光る宝石が埋め込まれていた。
 それをミキに差し出すと、そのキーホルダーがふわりと風にのったかのように、手から離れる。

 『わぁー!綺麗だなぁ………僕がペルセウスだなんて、嬉しいよ。ありがとう、薫』


 そう言うと、ミキは薫に抱きついたのか、薫の体が温かくなる。


 「ミキ………私もあなたが大好きよ」
 『僕も大好きだよ、薫』


 しばらく2人は抱きしめあった。
 彼のぬくもりや、香りに包まれ、薫は昔の出来事や昨晩の夢を思い出す。
 とても楽しくて、優しい思い出。

 しばらくすると、ミキが離れたのか冷たい風を感じる。