自転車を横に置き、腕組みして、かなりイキっている。

カッコつけているのが目に見えてわかる。

あれは、とても鼻につくポーズだ。

たまに髪へ手をやり、モデルみたいにすかしている。

黙っていたら相当格好いいのに、残念なことに七島は自分の格好良さを鼻にかけるスカシた男だ。

性格の悪さと軽さが体中から滲み出てしまっている。

俺は日本一カッコイイ男子学生だろ?絶対に認めろよ…というように、派手にすかした所が、すごくイヤ。



私はブルッと身震いした。


「なんであいつのせいで、わざわざ私らが裏門から帰らないといけないのよ。いい加減バカげてるでしょ。突破するよ」

沙也加は興奮ぎみに肩をいからせて校門へ向かう。


伊藤沙也加は、友人の私から見て(もしかしたら贔屓めにみているかもしれないが)かなりの美人である。



クールビューティーのタイプではなく表情がせわしなくコロコロ変わる表情豊かな美人さん。

嫌な時は、本気で眉間に皺を寄せ嫌そうな顔になり、楽しい時は豪快に口を大きく開けて笑う。

美人なのに、それを鼻にかけない。

更に男っぽい性格で喜怒哀楽の激しい子だ。

リアクションがアメリカのラブコメドラマに出てくる女優さんみたいな感じと言えば伝わるだろうか。

そんな沙也加は、私のかけがえのない唯一の親友である。




私は田中 舞。

名前も平凡だし、容姿もこれといって特筆すべき特徴がない。

ボブカットに丸顔。

少し前に皿にかけるラップのCMの女の子に似ているねと悪意のないかんじで言われた。

CMのあの子はかわいいが、それは幼児だからであり、高校生であの子に似てると言われてしまうのは、正直イタイなと思っている。

言われてからは、前髪を伸ばそうと決めており、現在ようやく前髪が眉毛が隠れるギリギリまで伸びた。

背丈は、158cm。少し小さいのかな。
痩せてもないし太ってもないとは思う。高校生なのにメリハリのない体には正直泣けてくる。

ま、いわゆるどこにでもよくいる目立たないタイプだろう。

なので
かくれんぼなんかして沢山の人の中に私を紛れこませてたとしたら、一人だけ赤白のシマシマな派手な服でも着させない限り見つけるのにひと苦労するタイプだろうと自分で自覚している。