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「だから、大丈夫だって!
領主代理様は、お願いだからおとなしくしてて!」
「そうは言いましても、チェース様!」
「様もいらないって!
冒険者チェースなんだから!」
「じゃ、えっと、チェース君!
こんなことをしていただくことは・・・」
「えー?こんなことってひどいな。
一応、依頼なんだけど。」
焦ったように、見守る領主代理さま。
その後ろに、何事かと見守る庭師と使用人たち。
あんまり騒ぐと
正体ばれちゃうからやめてほしいな。
迷惑そうに
付きまとってくる男をあしらいながら、
草むしりをするチェース。
ここは、領主の庭
というか、屋敷の裏手だ。
庭師も手が回らないから
草むしり依頼をギルドに出していたのだ。
それを、見つけたから俺が受けたってわけ。
草むしりといっても、豪快に土をひっくり返して
草を拾うってやつだ。
草むしりっていうか、草拾い?
「あー、チェース君
水系もつかえるんでしたっけ?」
「フィロス。あんまりうまくないけど
どばーってのは、すぐできる。
ちょろちょろーっていうのは、
紙に魔法陣をかいてならできる。
何するの?」
「水で一度土をならそうかと」
「あぁ、なるほどーー」
フィロスの肩には、定位置のように小さめな猫のような形をとった精霊さまがちょこんと座ってる。
土をひっくり返すのは
広範囲に魔力を流すだけだからいいけど
どばーっと水をしたら
屋敷のとこまで行くしな。ポケットから紙とペンを取り出して
陣をかく。
えぇと、水で・・・降り注ぐ
範囲は5×3ぐらいで・・・
フィロスが集めた草を燃やして
俺が水を土に降り注いで
おぉ!完了!
「はいはーい。
おわりましたよー。」
「そ、そうか!」
駆け寄ってくる領主代理をスルーして庭師さんに
「終了をお願いしまーす」
依頼主は、庭師さんだし。
「え?あ、はい。ご苦労様でした。」
庭師さんは、
差し出した俺のギルドカードに指を押して
「依頼完了です」
と告げる。
便利だよなー。結構ハイテク。
これで完了して、料金はこのカードに入るシステム。
電子マネーだな。
使うときは、引き出さないといけないけど。
「あの、では チェースさ・・・えっと、
チェース、よければ、お茶でも?」
「ぶはっ。あははは。
何そのデートの誘いみたいなの。
だから、俺は『ただの賢者ウルーチェの生徒だ』から、
そんなに気を使わなくても、よろしいですよ?領主代理?」
*
あれから、俺が「フランチェスコ第二王子」という真実を告げて、
それを内緒にするようにお願いした。
その時ウルーチェ先生が「冒険者チェースは私の生徒だ」ということにしたのだ。だから、領主様と面識がある。みたいな?
無理があるんじゃないかと思ったけど、
意外と、それでオッケーだったりするから「賢者ウルーチェ様」の影響力すごいなと思うよ。
先代の領主様とご友人であったから
こちらの土地に何度も遊びにいらしているというのも大きいだろうなぁ。
「坊主は、賢者様の弟子なんじゃなー?」
「おぅ。今は冒険者だけどね。
俺、光の魔力も使えるから、王都に集められたときの先生。」
光の魔力を使えるものは、集められて適正検査させらるからな。
あ、一応「第二王子」だったころもやったよ。