領主代理のローディゴール=モントレーさんは頭に手をやって
少し考えながら
重々しく口を開いた。

「あーーー
 そもそも、あなたたちがどうとかいう前に、
 精霊がなんの保証もないのに冒険者とともにというのが
 ダメなのだよ。」


ですよね。精霊の力は気まぐれで強い。だからキケンだ。

『なんでーー?』

こんなかわいらしい猫のようなリスのような愛玩動物にしか見えない精霊様も
力を暴発してしまったらとりあえず、この部屋はぶっ飛ぶ。

普通に人里にでたら
多少なりとも瘴気や悪意があるからなぁ。
精霊様はそういう「気」に弱い。

ギルド長の言った通り、衰弱して消滅となったら・・・
その辺を巻き込んで暴発する。

『やだぁ。離れないよぉ』
ぷるぷる、っと頭を振る 精霊様。
かわいい。

でも、困ったなーー

ギルド長は、ローディゴール=モントレーさんと顔を見合わせて
軽く、ひげを撫でながら困ったように告げた。

「とりあえず、王宮に賢者ウルーチェ様の許可を確認して・・・
 「フィロス」の審議も確認したい」

はぁ、とため息交じりに告げられた。

王宮に確認?
まじか!それは困る。

やべーって

「せ、精霊様。戻ったほうがいいって。」

俺の頭から、ぴょんとフィロスのあわい赤の髪に飛び乗った精霊様は
ふわーーっとあくびをしながら『やーだーー』と言いながら
フィロスの頭で丸くなった。



「てめぇら、王宮に問い合わせたら
 まずいことでも?」

ギルド長がすっげぇにらんできた。
いやーー・・・うん。まずいって。

主に俺が。

「そんなことはありませんが・・・
 チェース君 ジョイル君。どうしますか?」

フィロスは困ったように笑った。

うーん。
あ、あれがあるじゃん。

「ジョイル!あのウルーチェ先生の耳飾り
 あれはどう?直接賢者ウルーチェ様とつながるじゃん。」


「・・・!そうでした!
 あの、領主代理様。これを!!」

ジョイルが慌てて
もらったイヤホンみたいなの。
なんと、ウルーチェ先生に直通。

「これは・・・すごい 魔法具だな・・
 ・・・
 そうだな。では、つなげてもらおうか。」

あ。

思わず、俺とジョイルが顔を見合わす。

「・・・えぇとーーー
 ものすごい「火の魔力」が必要でして・・」
「そうそう。ウルーチェ先生ってば
 俺らにそんなに「火」の適正ないって知ってるのに・・・」

「「あ!!」」

俺とジョイルは顔を見合わせて、
頭に精霊を乗せているフィロスを見た。

いたよ!すげぇ「火の魔力保有者」!!