あわーい 黄色のふわふわのそいつは
猫のような形をとりながら空中に浮いている。
『君たちはだぁれ?』
「精霊・・・私はフィロスと言います。精霊様。」
「・・・わたしはジョイル=シャボンワークと言います。精霊様。」
「俺は・・・今は、チェースと言います。精霊様。」
精霊に「嘘」は禁物だ。
嘘をつくと、その「気」を嫌がって
逃げていく。
逃げるだけならいいけど、
不愉快だーといって
異常気象を起こしたり、爆発させたりとかするから
精霊と出会って「問われたら」嘘をつかないというのが
世界の常識だ。
今は、チェースだから
間違ってないけどさぁ、
内心どっきどきだよ。
精霊はふわふわとウサギのような形になりながら、
フィロスの前に来る。
『へんなの。
つながってるの?』
「はい。私の「主」はあちらにいます
えぇと、チェース君です。精霊様。」
『ふぃろすは、魔獣?
それとも、人?精霊?
なんで、しばられてるのー?
こんな不思議な魔術はじめてーー
なんでー?
ちぇーすも、へんなのー
キラキラ嫌いなの?なんで閉じ込めてるの?
へんなのーー?』
くるくるーと 精霊はフィロスの周りをまわって、
オレの周りも回った。
フィロスは苦笑しながら、
「それは、秘密ですよ。
精霊様。」
なるほど、問いに答えないというのもアリか。
「嘘」さえつかなければいいものな。
さすが、元「騎士フィロス」いろんなこと知ってるなぁ。
『ふふふ。ふぃろすは変なにおいーー
ずぅっと 精霊の呪いがついてたの?
やだーーなにしたの?その割には魂はきれいねー
嫌な人じゃ なさそうなのにーー』
「!!っ!! そ、それは」
「へー。すごいな。精霊同士って
そういうのわかるの?」
俺はその黄色っぽい猫っぽい精霊に聞いてみた。
『そうだねー。たまにわかるよ。』
「どんなのかとか、詳細もわかる?」
『うぅーん?近くの仲間たちのじゃないから
わかんなーーい。
森にはあまり いない精霊かな?
そーゆー「呪い」はかけないと思うよー?』
「そういった、呪い?」
今度はジョイルがその精霊を見つめた。
そういえば、ジョイルはもともと「呪術」も得意だしな。
『えっとねーー
頭を奪っちゃうの。
考えられなくなるの。
でもねー、そうすると、魔力はおいしくなくなるの。
魂も黒くなっちゃうし。』
「・・そ、そうなんですか、精神に作用する「精霊術」・・・」
フィロスがじっと精霊を見つめた。
「あの、精霊様。私にかけられていた術の影響は・・」
『ないと思うよーー。ちぇーすとつながってるから
魔力も魂もきらきらー。』
精霊は楽しそうに
ぴょんと俺たちの周りをはねた。
『ふぃろす はねー。きらきらと赤い木の実がいっぱいで
おいしそうな魔力なのーー。
じょいるは、きれいな紫がぶわーーってしてるの。
ちぇーすが一番きらきら
でもぎゅーっとしてる?秘密なのーー?』
くい、と首をかしげる。
かわいいな!精霊様!!