俺は軽く三枚ほど花びらを取って
ざぶざぶと、
岸にいるフィロスに近づいて
ほれ、と口に持ってってやる。
「・・・はなびら?」
思いっきり眉間にしわを寄せるフィロスに
「まぁまぁ」
ぐいっと口に押し込む。
「あ、あまい。」
「だろ?」
新触感ってやつだな。
「・・・チェース。花を茎ごと手折ると
しわしわになりますね。不思議な花だ・・・
この花びらは、酸味が強くなりますね。」
ジョイルの手元にはしわしわになった、黄色い花。
「まぁ、お前んとこの「光の花」もすごいけどな。」
ジョイルの地元の花は綺麗な光輝く花だ。
毎日「防御の光」の魔法をかけて
花まつりの日に一斉に空に浮かせて、飛ばす。
その祭りがきれいなんだよな。
花びらがキラキラ舞って
光に反射して、幻想的。
ざばーーっと
池から上がると、
フィロスが「失礼します。」と言いながら
俺と、ジョイルに、乾燥の魔法をかけてくれた。
おぉ。助かる。
俺もできるけど、ぶわーっと 突風みたいになっちゃうんだよな。
微妙に体だけに、魔力で温風を這わすとか、細かい魔力の動きは
難しいって。
「ありがとな。フィロス。」
「いえ。はい、ジョイル君も。」
「わ。ありがとうございます。」
『ね?ね?
だぁれ??』
ふわり、と 聞こえた声に
思わず、三人に緊張が走る。
がさがさ、空気と木がかすれる。
『かすかに・・・のにおいがする。』
ぶわん。と
三人のまえに、まるい光が現れる。
「な?!チェース!さがって!」
「チェース君!!」
「うわっ」
俺はぐいっと押しやられて
フィロスとジョイルが一歩前に出る。
丸い光が小さくなって、
ウサギのような、猫のような
謎の黄色い生物?がちょこん、と表れた。
「おいおいっ。二人とも!
別に俺を守らなくても・・・て、
すげーーなぁ!!「精霊」だ!!」