「きゃっ・・・」
「・・・凜?」
凜の小さな悲鳴が聞こえて、即座に目線を移した。
・・・過剰に反応しすぎていることに自分が一番驚く。俺はこんな人間じゃ無かったはずなのに。
向こうも俺の声に反応したのか、こっちを向いて、目が合ったその時、・・・小さく笑った。
「へへ・・・みて、濡れた。冷たい」
「いや・・・見て、じゃないでしょ。何してんの。大丈夫?」
「あはっ、子どものバシャバシャに巻き込まれた!」
「子どものバシャバシャ。・・・おいで、凜」
数メートル先で濡れた服を見せながら笑ってる凜が、何とも彼女らしくて、笑えた。
こっちおいで、って自分の方に手招けば、ペタペタ歩きながら素直にやってくるから可愛いよね。
なんか、犬みたいで。・・・犬飼った事ないけど。
肩に掛けていたタオルで濡れた凜を拭けば、
「ありがとう、やっぱり優しいね」って笑うから・・・
そんな笑顔を見たら、否定の言葉も出なくなる。