五人の高校生が砂を弄り初めてから約一時間、目の前には何とも立派な城が建っている。

・・・うん・・・なんか、凄いね。

これは俺の知っている砂の城では無い。



「・・・あ、きれいな貝殻」

「妃菜、ビーチバレー対決しよう!あおは審判よろしく!」

「なんで俺。めんどくさい」

「頼む!あとで何か奢るから!」


ひとまず休憩って事になって、昂生は早速ビーチバレーに妃菜を誘っている。

蒼は審判に抜擢された。どんまい・・・。


俺は貝殻を拾い始めた凜のそばに座って、特に意味もなく海を眺める。

海に来たのなんか、何年ぶりなんだろうか。

この海は、俺の記憶に残る海とは・・・何かが違う。

俺が昔見た海は、もっと小さくて、こんなにキラキラしていなくて、こんなに青くもなかった。

・・・ような気がする。