ちなみに目的は泳ぐことでは無い。

理由としては、凜は泳げない。

妃菜と蒼と俺が嫌がる。

そもそも、水着なんか誰も持っていなかった。

綺麗な海を見て、ビーチで遊んで、その周りの店を見て回るというプランを立てた。


そんなプランの中で、俺たちは今・・・何故か、全力で砂の城を建てている。


「そっちどうなってんの?てか優人、器用すぎじゃない?え?」

「妃菜のところヤバいな。何それ」

「私にも分かんない。何だろう、これ」



とりあえず何をするか・・・ってなった時に、凜が『お城作りたい』ってまさかの提案を出したから、それに昂生が乗って、流れで・・・城作り。

高校三年生の全力の城作りは、クオリティが高かった。

こんなもの作ったことは無かったけど、地味に楽しい・・・かもしれない。


俺の隣で、凜が笑っている。

楽しそうに、笑っている。


・・・それだけで、俺は良かった。