「・・・んー、俺は・・・」
・・・特に決めてない。
そう答えるしか無くて、そんな俺にも凜は特に何も言わず、「きぃくんなら何でもなれそう」って言ってくれた。
・・・何にもなれないよ、俺は。
将来に、不安しか無いんだから。
「そういえばさ、凜ちゃんと妃菜は?進路決まってんの?」
昂生の何でもないその言葉に、一瞬、心臓が大きく跳ねた。
・・・凜は・・・凜には、未来が無い・・・。
受験勉強なんか出来る状態では無いだろうし、彼女は自分の生を諦めている。
その突然の問いに、やっぱり妃菜は言葉を止めていて・・・
そんな俺と妃菜を気にも留めず、凜は当たり前のように答えた。
「妃菜は看護師さんになるんだよ。わたしは・・・きぃくんと一緒で、まだ決めてない」
「あー、妃菜が看護師は分かる。超怖い血相して針刺してそう」
「うーわ、それ怖いわ・・・」
「あはっ、妃菜のイメージって、そんなかな?」
昂生と蒼は何も疑わずにそう言うけれど、凜の目は笑っていなかった。
・・・光を映していなかった。