「じゃあ、蒼くんは弁護士になるの?」
「うん。法学部に行くから・・・まぁそうなるね」
「へぇー・・・すごいね。昂くんは?」
「俺は学校の先生。昔からの夢なんだよね〜」
「昂生が教師とか意外すぎてビックリ」
高校三年生の夏休みなんて、大体の人間にとっては受験戦争でしかない。
弁護士になるために難しそうな課題をこなす蒼に感心する凜に、『勉強がつらすぎる』って嘆く昂生に突っかかっていく妃菜。
蒼が弁護士を目指しているのは高校に入ってからの事だけど、昂生が教師を目指しているのは、ずっと昔から知っていた。
一見馬鹿でアホに見えるけど、そこまで頭は悪くない。
そんな中で、俺は・・・何に、なるんだろう。
何処に、行くんだろう。
「きぃくんは進学だっけ。何になるの?」
・・・俺は凜からのそんな問いかけに、答えることが出来なかった。