『きぃくん』
『きぃくん?』
『・・・きぃくんっ』
・・・思えば思うほど、胸が痛んだ。
凜が死ぬだなんて・・・信じられない。
今までの凜を思い出せば思い出すだけ、情けなさが俺を苦しめて、無力さに絶望して、吐きそうになる。
これまでに感じたことの無い痛み。
苦しみ。
虚無感。
・・・そして恐怖。
蒸し暑い夏の日。
薄暗い空の下で、俺は初めて、誰かを思って涙を零した。
色んな感情が俺の中を渦巻いている。
「・・・っ、ぅ・・・あぁっ・・・」
なんでこんなに泣いてんの。意味わかんねえ。
そう思いながらも、ボロボロ溢れる涙を止めることは出来なくて、俺はただひたすら、気の済むまで一人で泣いた。