( 優人 side )
『18歳まで 生きられるか分からない』
凜の表情は、少しだけ哀しそうなだけだった。
生きることを諦めた人の目をしていた。
・・・正直、すごくショックだった。
凜は恐らく17歳。
18歳までということは、今だって死と隣り合わせのはずだから。
冷え切った凜の手のひらを、強く握った。
大丈夫なんて・・・軽々しく言えない。
大丈夫なわけ、無いんだから。
『きぃくん、おはよう』
『きぃくん、絵描いて』
『きぃくん、また明日ねっ』
・・・そうやって俺に向けてきた笑顔は、限りあるものだったんだ。
凜はいつだって死と戦っていた。
俺はそれに気付けるわけもなく、気にも留めなくて・・・情けない人間だと、心の底から思った。