目が覚めてすぐに視界に入ってきたのは、真っ白い天井。
体はうまく動かない。
左手に人の温もりを感じて、ほんの少し体を動かすと、胸に激痛が走った。
わたし、この痛み・・・知ってる。
何度目かの手術・・・成功、したんだ。
「・・・り、ん・・・、凜っ・・・」
・・・妃菜がそこに居る。声が聞こえる。
わたし、まだ、生きてた。
先生と妃菜の声。呼び掛けに返事は出来ないけれど、弱々しい力で妃菜の手を握り返した。
・・・もう、限界なんだ。わたしの心臓。
何度も何度も手術してごめんね。たくさん苦しませてごめんね。
この心臓が限界を迎えたとき、こうしてわたしは死んじゃうんだ。
もう二度と目覚めないかもしれない。
死ぬことは・・・怖いこと。
だけど、死んだ先ではきっとお父さんに会える。
わたしを育ててくれた、大好きなお父さんに。
色んなことを思ったら涙が頬を伝って流れたけど、それを拭う力も無く、わたしは再び眠りに落ちた。