「・・・凜、置いてくよ」

「待って、行くから待ってっ」

「うん、待ってる」



いつの間にかみんなが少し先を歩いてて、きぃくんに呼ばれて気が付いた。


家の前で妃菜にお財布とケータイ以外の荷物を預けて、少し急いできぃくんの隣に並ぶ。

このポジション、好き。



「へへ、優しいね、ありがとうっ」

「・・・優しくは、ない」

「わたしは優しいと思うけどなぁ」

「凜には少し優しくしてるつもり」

「・・・うれしい」

「うん。・・・行こ」


きぃくんに「優しい」とか「カッコいい」とかの褒め言葉を言うと、絶対に否定される。


きぃくんは、自分に否定的。

そこに踏み込んではいけないと思ってるし、踏み込んでいくつもりもないけど・・・


きぃくんが素敵な人だっていうこと、きぃくんに知ってほしいな。