( 凜 side )
きぃくん達と出逢ってからものすごいスピードで1ヶ月以上の時が過ぎ、季節はもう夏に近い。
わたしがこの学校に来て、高校三年生を迎えてすぐの頃、発作で苦しむわたしを助けてくれたのがきぃくんだった。
・・・知らない人は怖い。
人間は、だいたい怖い。
わたしに触れようと手を伸ばした彼を、わたしは一度拒んだ。
真っ暗な瞳を揺らしてあからさまに動揺している彼に、ものすごく申し訳ない気持ちになって・・・
何も悪くないのに謝ってばかりの彼に、何故だか親近感を覚えて・・・
目の前で知らない人間が苦しんでいるのに「大丈夫だよ」って、背中をさすってくれるその手が暖かくて、わたしはすごく安心した。
それと同時に、目を離したらどこかに消えてしまいそうな彼を前に、胸がザワついた。
あの日は結局、発作を起こしちゃったからって、救急車に乗って運ばれたまま二日の検査入院があって、きぃくんに会えたのは三日後だった。