_____あの日以降、俺は白石凜と「おはよう」の挨拶だけを交わすようになった。
彼女が登校してきたのはあれから三日後で、朝、目が合ったとき、向こうが おはよう、って言ってきたから。
・・・それを無視するほど、冷徹な人間でも無いし。
「おはよう」
何かを発したら何かを返してくる機械のように、ただ一言、そう返したら・・・彼女は、嬉しそうに笑った。
相変わらず馬鹿みたいにつまらない授業を四時間乗り越え、ようやく迎えた昼休み。
蒼と昂生が周りにやって来て、主に昂生の話を聞きながら弁当を食べる時間。
「あ、紀井優人」
「・・・え」
「あ、もう一人の転校生!え、優人知り合い?うそ、マジで?」
「いや・・・別に、そんなんじゃない」
「冷たいね、やっぱり」
教室のドアを開けて入ってきたのは、・・・長瀬妃菜。
あ、なんて言って俺に声を掛けるから、昂生が騒ぎ出して、蒼でさえも怪訝な表情を浮かべてる。
そんな彼女は他に何を言うわけでもなく、白石凜の席に行って、座った。
やっぱり・・・似てないな。