結局、あの後すぐに長瀬が来て、俺は教室に戻って授業を受けた。
授業中、救急車が来た。って周りがザワザワしてたけど、本当に来たのか、救急車。
転校生と・・・白石凜と関わってしまった。
昂生が知ったら騒がしくなるのが目に見えてるし、めんどくさいから黙っておいた。
俺はあんなふうに誰かを助けたのは初めてで、誰かに頼られた気がするのも初めて。
初経験の新鮮さを超えて、もはや恐怖に思えてきたけど、だからといって何かが変わるわけでもない。
『きぃくん』
・・・白石凜の声だけが、頭の中で永遠に響いた。
誰かの体温。誰かが俺に向けて伸ばす手。誰かが俺を呼ぶ声。
蒼や昂生や他の友達、先生とは訳が違う。
その違いは・・・まだ何も知らない俺には、全くわからないし、説明も出来ないけど。
あの時、確かに感じた彼女の体温は、俺の手に残り続けた。