大学を卒業して6年、俺は自力で施設を建てた。
莫大な金額が掛かったし、人手不足も簡単な壁ではなかったけれど
周りの人からの協力を得て完成した、小さな児童養護施設。
俺はここの施設長だ。
「ゆーとぉ!あたらしいこ、きたぁ?」
「・・・んっ」
ドタドタ足音を立ててやって来た子どもたちを前に、ぬいぐるみを抱きしめて背後に隠れた少女。
・・・凜、このうさぎにはものすごいパワーが備わっているみたい。
凜の魔法かな、なんてファンタジックな考えに至るのも、全部増えた知識のせい。
「大丈夫。みんなは君を愛してくれるよ」
辛い思いをした子どもは、大抵他人からの愛を拒む。
だけどそれを受け入れることが出来たとき、自分も誰かを愛してあげようと・・・
小さな体に秘めた大きな愛を、他人にぶつけることができる。