「・・・っおれ・・・凜に会うまで・・・愛してるとか、わかんなかったっ・・・」
愛なんて、本当にあるのかな、って。
肉親が愛してくれないのに、他人から愛を感じることなんて絶対に不可能だ、って。
俺は思っていた。
俺が彼女に教わった『愛』は
辛くて、苦しくて、痛くて、切ない。
あたたかくて、嬉しくて、楽しくて、恋しい。
君に触れれば、笑顔が溢れて。
幸せすぎて、涙が出たり。
『きぃくん、好き・・・大好き』
凜の声が、言葉が、俺の中で消えることはない。
紫色のキーホルダー。
紫色のペン。
積み上がった大量の課題。
自由帳に埋まった可愛い絵。
少し変わったぬいぐるみ。
『いかないで・・・っ、おねがい・・・』
あの日、初めて凜を見た日。
俺と君が出会えたのは、偶然なんかじゃなかったと思う。
思い返せば、数えきれないほどの思い出が頭に浮かんだ。