そんな時間がどれほど続いただろう。


・・・凜が、凜の手が、繋がれたこの手を握り返した。



「凜・・・っ」



閉ざされていた瞼が開かれ、揺れる瞳と視線がぶつかる。


横では心電図が不規則に音を立てていて、凜の表情はすごく苦しそうに見えた。



涙の溜まるその瞳が何かを言いたそうで、俺はそんな彼女の思いを読み取ろうと必死になって言葉をかけた。


心の中で、彼女の言葉を探し回る。



不意に彼女の目線が逸れて、その視線はあの棚に向けられていることに気付いた。



「・・・これ・・・開けろって?」

「・・・・・」



『うん、開けて』


って・・・凜が、そう言った気がしたから、俺はその引き出しに手を掛けた。


そこには前みたいに画用紙なんて無くて、やっぱり見慣れたノートが一冊。



「・・・凜が、この前、書いてた・・・」

「この前?・・・」



妃菜の呟きに小さく頷いた凜。


そのノートを捲れば、今まで凜が描いてきたたくさんの絵。



後ろの方まで捲ったとき、そこにはあの薄紫色のうさぎの絵と



《 あいしてる 》 の文字。