( 優人 side )



『凜が・・・っ、死んじゃう・・・はやく、来いっ・・・』



今朝、俺を起こしたのは妃菜からの電話だった。


まだ7時だけど・・・なんて思いながら寝ぼけたままその電話に出て、切羽詰まった声でその言葉を聞いた瞬間、眠気なんてどこかに消えた。



足先から頭まで、体温が一気に失われたような気がした。



「いま、いくからっ」



すぐに電話を切って、この上ないスピードで家を飛び出した。



・・・凜、死なないで。


最期まで、傍に居させて。


頼むから・・・!!



そんな思いで必死に足を動かし、泣きそうになるのを堪えながら、もはや顔見知りの看護師に通され、俺は凜の病室に入る。



「凜っ・・・」



カーテンの閉ざされた薄暗い部屋で、医者やたくさんの看護師に囲まれた凜の姿を見て、身体が震えた。


酸素マスクは外され、挿管チューブが付けられた凜の横で泣いている妃菜に掛けてやれる言葉なんか無くて、俺は自分の拳を強く握った。