《 きぃくん おやすみ 》



満足いくまでペンを走らせたわたしは、それを引き出しにしまい、ベッドに入って文字を打った。



ほんの少しの胸を刺すような痛みが治まってくれない。


先生を呼ぶと、酸素マスクの濃度を高めてくれた。


妃菜がここに泊まるのを許されているのも、わたしの命の期限が関係しているんだろうな。


こんな環境に、慣れてしまった。



当たり前のように学校に行けて、授業を受けて、放課後は遊んで、お絵描きが出来て、家に帰れて、ご飯食べて・・・って生活は、夢だったかのように思えた。



妃菜と同じ学校に通えて、高校三年生になって、きぃくんと出会って、みんなと仲良くなれた。


辛いことだってあったけど、それも全部含めて、幸せだったと思える。



わたしは18歳になれた。


卒業は・・・出来ない、けど。


わたしと同じように18年生きたみんなの中に、少しでも残れるなら、悔やむことは何も無い。