限界に近づいていく時間に逆らうことは出来なくて、毎晩寝る前に強く願った。



・・・明日も、おはようが言えますように。

妃菜の笑顔が見れますように。

きぃくんに、会えますように。



隣に置かれた、規則正しい音を鳴らす心電図を見ながら、何度も想像した。


この波形が直線になるところを。

心臓が止まることを知らせる音を。



そんな恐怖から逃れるように、わたしはこのうさぎのぬいぐるみを抱きしめて目を閉じる。



昂くんがくれた本を読んで、蒼くんがくれた写真を見ながら、わたしの一日は終わっていく。



『凜』



大好きな彼の声が、わたしの記憶から消えることはない。


あの笑顔も、手の温もりも、忘れたことは一度もない。



闇をさまよっていた彼が見つけた大きな光を、夢を聞いたとき、わたしはすごく嬉しくて。


誰よりも応援するんだ、がんばって、きぃくんなら、きっと叶えられる・・・って、たくさんの言葉を彼に捧げた。