「・・・凜、大丈夫?」


再会の感動に浸っている暇もなく、腕の中の彼女が苦しそうに息をしていることに気付いた。


俺が腕に力を入れなければ崩れ落ちそうな勢い。


・・・宣告された余命を間近に、学校にも行けず入院を強いられているんだ。

考えれば当然のことではあったし、頭で理解した瞬間、再び襲いかかってくる不安。



「・・・だいじょうぶ、せんせいに・・・怒られちゃうね」

「・・・もう喋んないで、大人しくしてて」



説得力皆無な途切れ途切れの言葉。

俺のせい・・・ではあるけれど、今すぐ病院に帰さなければ。


自分の着ていた上着を着せて背を向ければ、何も言わずに受け入れてくれるから、もはや強がる余裕もないと・・・伝わった。



「へへ・・・心配性?」

「そうかもね。・・・俺のせいだけど・・・ごめん」

「・・・しょうがないから、ゆるしてあげる」



背中に感じる僅かな重みと体温を感じながら、俺は足を早めた。