「りんっ!!」



もう一度、大きな声で彼女の名前を呼び、一目散に駆け出した。



「・・・っきぃくん、」


目が合って視線を逸らすことなく、俺は凜を抱きしめた。


・・・心臓がドクドク言ってる。


情けないながらに手は震えたままだけど、押し寄せてくる安堵感に全部を持っていかれた気分。


彼女の表情は見えないけれど、腰に回ってくる手の温もりを感じたら、あぁ、良かった・・・って。

大切なものを失くす前に、またこの手で、揺るがない思いを持った自分で、この子を抱きしめることが出来た。

・・・俺は、嬉しい。



「ごめん、凜・・・俺、・・・ごめん」

「・・・っはなしてあげないもん・・・」

「・・・うん。ごめん。・・・ありがとう」



信じてくれててありがとう。

捜してくれて ありがとう。


・・・生きててくれて、ありがとう。