暗闇の中、頭上では無数の星が光っていた。
この星を辿れば凜に会えるかな・・・なんて、ロマンチックバカみたいなことを考えて、笑いが零れた。
妃菜の言う通りだ。
俺はこんなにも凜のことが好きなのに。
"好き" とか "愛" だとかが何なのかわかるよりもっと前から、夢中になって君を見続けていたのに。
一番大切なものは見失っていたんだ。
息が切れる。
全身に受ける風の寒さと、内部から伝わる暑さが混ざって変な気分。
大通りを走り抜けて、学校から凜の病院に向かう道の先に、・・・探し求めていた姿を見つけた。
「・・・っ凜!!」
自分で思っていたより声は通らない。
後ろを通る車の音でかき消されたかとも思ったけれど、俺のその声は視線の先の彼女にしっかり届いていた。
今にも倒れそうなゆっくりとした動きの足を止め、彼女は振り返る。