上着を羽織って、勢いのままに家を飛び出した。


・・・暗い。

冬特有の冷たい風が吹き荒れている。空は暗い。


こんな暗闇の中に、凜は一人で・・・考えただけで気が狂いそうなくらいの恐怖に包まれた。



「じゃあ見つけたら連絡ね?」

「俺は病院の前で待機するから!」


効率良く捜すべく、俺たちはそれぞれ分かれた。


・・・俺のせいで凜は居なくなったんだ。


俺が見つけなければいけない。


分かってはいるけれど、自分から別れを告げたくせに、今さら合わせる顔がないのも事実。

だけど今の俺にそんなことを考えている余裕はない。


凜が無事でいること。

凜が帰ってくること。

凜が・・・生きていること。


ただひたすらに、それだけを願った。


走れば当然のように風を受ける。

はじめからこうしていれば良かったんだ。


あんな親の思い通りになんかなってやらない。


俺は強くなりたい。


大切な人を守れるくらい、強くなりたかったはずなのに。



・・・こんなところで絶望している場合じゃない。