「俺と一緒に居たら、凜は・・・幸せになんか、なれなくて・・・おれには無理だから、もう・・・会えないって・・・っ」



・・・その判断は、きっと正しくなかった。


俺の身勝手な行動で、凜は自分を責めてしまったのかもしれない。


もし凜に何かあったら、それは間違いなく俺のせいで、もし凜が・・・そのせいで倒れてしまったら・・・



そのときは、俺が凜を殺したんだ。



「お前・・・元からバカだとは思ってたけど、本当にバカだな」


この重苦しい空気を割いたのは、今まで恐ろしい血相をして佇んでいた妃菜。


いつになく低い声。

そして軽く吐かれた暴言は、それ・・・俺に?


俺がバカなことは俺が一番知ってる。

俺が賢かったら、優秀だったら、器用だったら・・・


こんなことにはならなかったんだから。


そんな思いに埋め尽くされる俺のことなんか気にも留めず、妃菜は言葉を続ける。



「なんで凜の大切なもの奪うの?私あんたが今まで凜を大切に思ってたこと知ってる。飽きるほど見てきた。それなのにさぁ・・・なんで?」



・・・低かった声の調子が変わった。


止まることなく、勢いよく発せられたその言葉が、徐々に詰まって・・・


怒り、悲しみ、そんな感情を含んだ声に耳を傾け、目の前の彼女に目を向ければ、



俺と同じように、泣いていた。